もじゃ日記(ユズの香り)

感想とか諸々を。

#3 精神障害者がデス・ストランディングで救われた話

 

さてここからは物語の核心、エンディングまでの話です。

非常に長くなってしまいました。

読むのに30分ぐらいかかるので、お時間に余裕を持ってください。

 

 

この辺りから私はこのゲームにどハマりして、1日7〜10時間近く遊んでいました。

結論から言うと、再スタートしてから確か実働8日でクリアまで行きました。

きっとデスストの世界に私が居たら速攻ミュールになっている事でしょう。

 

「仕事を休んでいるのにゲームしとるんか」と、真面目な方からは言われそうですが、無気力で生きる価値や意味を失った人間が、ここまで熱中出来る様になった、と思うと悪い事ばかりでは無いのです。

実際、精神科病院の先生にも「前回は生きる事も嫌なぐらい気力が無かったけど、ゲームする気力が出てきたんですね、良いですね」と肯定されました。

 

 

さて本題。

ま〜そうだろうな!とは思いつつも、ヒッグスを倒しても話は終わりません。

ヒッグスとの殴り合いで、サムの顔はボコボコ。その顔もなんとなく紅の豚を連想させます。

ここで、ハートマンが議題に出していた、「絶滅体」の話が出てきます。

アメリは、やはり絶滅体。この世の全ての人間を絶滅に追いやる力を持っています。

それでも、世界を繋ぎたい。そう言います。

(その理由は最後に判明します)

 

その上で、実はアメリは肉体がビーチに居るので、わざわざサムが西の果てに迎えに来なくても(多分)好きな所に行けるというのも判明します。

そのサムの返し方がまた笑ってしまう。世界一分かりやすい説明。

またそのアメリの返しも秀逸。他言語だとどうなってるのでしょうか。

確かに彼女はビーチ姫。

 

そしてこの後、「走るのよ!」と言われ突然浜辺を走る2人の映像が映ります。ここ恐らく何かのオマージュなのかとは思うのですが、分からない身からするとちょっと不自然。何だろう。

まぁサムが楽しそうなので良いか。

見た事ないぜそんな笑顔。

 

その後、アメリのこのビーチに、ブリジットとダイハードマン、更にクリフが登場。

ブリジットに銃を向けるダイハードマン。「責任」とは一体。

その後に登場するクリフ、ダイハードマンとは何故か知り合いの様。

仮面を外すダイハードマン。

その場にしゃがみ込み「赦して」と震えた声で告げます。こんな大塚明夫さんの声聞いた事ない。驚きました。

その様子を崖の上から見ていたアメリとサム。

クリフがサムが連れているBBに気付き、こちらに進撃します。この進撃の指示出すマッツカッコいいんだよな。

そしてアメリに突然崖から突き落とされ、「結び目」に行き、元の世界に戻ります。

 

元の世界で、タールベルトを何故か渡った先の、西の果てに居るサムに「みんなキャピタル・ノットシティに居るから戻ってこい」と告げられます。

いや物凄い距離じゃない?帰るんかいなと思いながらも、来た道を戻る事に。

その際、配送荷物は無いので、私はやりたかった事に挑戦。

それは、ほとんど今まで乗らなかったバイクで帰り道を制覇する事。

スタート地点からはギリギリバイクが1台生成出来る物資があります。

なるべく崖のない道を丹念にルート選択して、雪山だろうが岩場だろうがゴリゴリ進みます。

サムのお尻がちょっと不安。岩もウィリーして乗り越えて進んでるので、とてつもない衝撃がずっとお尻に来ているはず。

バイクに乗りっぱなしだとお尻にダメージが来るというのは、水曜どうでしょうで良く分かってるので、大丈夫だろうか。

 

と思ったらノーマン・リーダスにも褒められる踏破。

 

バッテリーがギリギリになったら、発電機を建てて充電をして、バイクがボロボロになったらセーフハウスに格納して修理して貰い、なんとか繋げて進みます。

雪山でオーロラが見えました。綺麗。

 

そんなこんなで進むと、自分がサウス・ノットシティからレイク・ノットシティまであらかじめ作ってた国道まで辿り着きます。

修理の休憩を除いて、一度もバイクから降りずにレイク・ノットシティまで辿り着きました。BTの座礁地帯も全て回避してきたので全く降りませんでした。

 

途中、何度かデッドマンからBBに関する事実を伝えられます。

BBの開発はブリジット大統領が倫理的に反するので凍結した、というのが表向きの発表ですが、実はその裏で秘密裏に開発は進められていた、という事。

カイラル通信は、ビーチを経由する時にBBを媒体にして繋いでいる通信技術であり、人柱として大量のBBが、各地の通信装置にそれぞれ組み込まれてるという事。

だから、エッジ・ノットシティに納品する「カイラル通信起動ユニット」がBBポットだったわけです。

正直ウワ…と思いましたが、これを推し進めていたブリジット大統領はこの事を把握した上で推進していた訳です。

そのまま成長すれば人間として産まれてくるはずの子供を、アメリカ全人口からすれば少しの犠牲の上で国の再建に繋げる、という計画。まさにトロッコ理論ですね。

というか、そもそもBBは「脳死した母親から摘出された妊娠28週前後の胎児」から出来て居る訳で、そんな母親が脳死した状態が自然に沢山出来る訳ありません。

それもきっと、ブリジット大統領は意図的にBBを大量に生産する様に、母親が脳死する状態を作る様に仕組んでいたのでしょう。恐ろしい。

サムが連れているBB(ルーと名付けられてます)はBB-28という製造番号が付いているので、少なくとも28人以上のBBが存在している訳です。

サムも「前に使ったBBは不良品だった」と以前話しているので、ブリッジズのポーターからして見たらそこまで超特別な装備ではないのでしょう。

「怖い」と思える様に、心が随分戻ってきた感じがしました。

 

あなおそろしや。

 

 

ここでレイク・ノットシティまでの道を進んでいた途中、あれ?あの雲やばくない?と気付きました。しかし勢いのまま、そのまま進んでしまいました。

そこで引き返して、殺傷武器を作るべきだった…………。

いつも予想は出来ても決定的な事には気付けないのが私です。

 

案の定、そのままスーパーセル(大嵐)に巻き込まれて、また戦場のビーチに連れて行かれます。

という事は…

マッツだー!!!

マッツ!!!3度目だ!!!

3度目でもめちゃめちゃカッコいい。

ここのマッツの吸っていた煙草からタールに引火して水面が燃え上がる演出めちゃくちゃかっこよかったです。

 

この時、戦場では殺傷武器しか効かないので、完全に丸腰で挑む事になります。

落ちてるアサルトライフル(レベル2)のみで挑むのは、なかなか骨が折れました。

しかも、敵AIが進化したのか、今まではこちらに気づくと真っ直ぐ向かってきたのが、マッツ&4人の骸骨兵士からゆっくり全方向から包囲される様になりました。これでちょっと苦戦しました。

ただ、マッツを叩けばクリアになるのを今までの経験上分かっていたので、なるべくマッツを狙って何とかやり直し無しでクリア。

 

ボロボロになりながらも、BBを求めてくるクリフ。

今までの様に強引にBBを奪う様な感じが無く、サムも今までの回想でこのBBの父親がクリフである事を察している為、そっとBBを見せる様に渡します。

そこで、何故かクリフはBBをサムに返し、サムを優しく抱きしめます。しかもサムの名前を知っている様子。何故。全然分からなかった。

戦地が明るくなって、サムは何故かポート・ノットシティまで戻ります。

 

ここからもオーロラが綺麗に見えた。

 

そこから、ブリッジズのメンバーみんなをジャンプで飛ばしてきたフラジャイルが昏睡状態にあると告げられます。

その治療に大量のクリプトビオシス(食べると造血作用と時雨耐性が付くクマムシ)が必要で、それはフラジャイル・エクスプレスが持っていたので運んできて欲しいとの事。

最後の配達かー、と思いながらも進みますが、ずっと時雨の豪雨状態なのでかなり大変。しかも荷物は水没厳禁。今まで自分が建設した物も全て無くなった状態にされる上に、カイラル通信が不安定なので装備が作れない状態に。

ケース・リペアスプレーが一個も無い状態で進んで、BTも大量に座礁していて、何故か序盤のエリアなのにミュールもテロリストになっていてえらいこっちゃでした。

極め付けに、皆んなが待つキャピタル・ノットシティに辿り着く直前に大きなクジラの様な巨大BTが現れます。見えない壁があって倒さないと進めない様子。(必死だったので写真忘れました)

前にネットでちらりと見ていたので、ここに現れる金色のハンターBTに引きずり込まれると即死というのを知っており、走り回りながら倒しました。

あんな巨大なBT倒してもカイラル結晶こんなもんかいなとか毎回思います。だって巨大BTが全身金色のカイラル結晶になってパーン!と弾けるんだからそのぐらいあっても良くない?20万cgは欲しい。

ニョキニョキ生えてくる様子は見てて楽しい。 

 

その後、全員集まっている隔離病棟に向かい、フラジャイルを回復させます。(と言ってもフラフラ)

この時点で、アメリが絶滅体であり、このままだと「ラスト・ストランディング」という全人類の絶滅を招くので、アメリをビーチに行って止めないといけない!という状態になっています。

アメリアメリカ全土をカイラル通信で繋ぎたかったのは、(確か)カイラル通信で世界そのものをあの世との境目のビーチに近づけて、ラスト・ストランディングを起こす為の下準備だったのです。(違ってたらすいません)

 

アメリを止める事が出来るのは、幼い頃からずっとアメリと一緒にビーチで過ごしてきて、絆の強いサムだけ。

サムが説得に失敗すればラスト・ストランディングは起きてしまうし、説得に成功したとしてもアメリのビーチからサムが帰ってこれる確実性はありません。(確か、アメリが帰さない限り、アメリのビーチから出られない為)

 

それでも、サムは行く事を決断します。

最初はアメリカ再建なんてどうでもいい、俺は荷物を運ぶだけだ、と言っていたサムからすると大きな思考の変化だと思います。

私は、最初サムは人を愛せないのだと思っていました。

だけど、アメリカ全土を渡り、ルーという大切な存在が生まれ、運ぶべき荷物が無くても仲間の元に戻る姿は、明らかに最初の態度とは違っています。

その様子に、感情を失い心が最初は凍りついていた私も「アメリを止めなきゃ」という様に思う事になります。

サムの心が、私の心も動かしたのです。

これについては、本当に感謝しています。

 

ギリギリの力で、フラジャイルにアメリのビーチに飛ばして貰います。

これがサムを見る最後かもしれない。

ブリッジズのメンバーとフラジャイルは、それでも彼を送り出すのです。

 

 

そしてビーチに辿り着くも、まぁ指令のアバウトな事よ。

目の前に見えているのは地球でしょうか。

だとしたら、ここは宇宙なのかも。

 

ここで、またもや大苦戦をします。

世界の絶滅を、サムと一緒に見届けるか、それを思いとどまらせるか。

その判断を、アメリはサムに委ねます。

その際に渡されたのは、ダイハードマンが持っていたリボルバー

 

沖に向かうアメリを、どうにかして止めないといけない。

アメリの悲痛な声に私は泣きながら、アメリに向かって銃を向けます。

しかし、発砲しても弾が亜空間に消える様な感じで、アメリには効きません。

え?と思いながら右往左往していると、画面が変わり、アメリが力を使って世界が真っ白になります。

「もう一度繋げますか?」と、ダイアログが出てきます。つまり絶滅起きちゃったという事。

失敗やんか!とちょっと笑いながら、やり直しますが、銃が効かないし近づいても何も起きないし。どうすれば良いんだ?と、ここで更に3回ほど絶滅を起こしちゃいました。ごめん世界。

いや、わからん…と思い、例のごとく「ヒント」と検索すると答えがバーンと出てきました。いやだからヒントって言ってるやんか!と思いながら、ようやく先に進みました。

ちなみに正解は、銃の装備を外し、アメリに近づいて抱き締める。です。

銃の装備が外せる事には気付いていたのですが、アメリに近づくというのが出来てなかったのでした。いつも核心に辿り着けない私らしい。

 

 

無事にアメリを思い止まらせる事に成功しますが、それはつまり絶滅体のアメリが、いずれ必ず起きる人類の絶滅を数十万年、下手したら数千万年掛かるかもしれない途方もない時間、ここで見届けさせるという選択です。

そんなの残酷過ぎる、と思いながらもアメリは決意します。

いずれ必ず起きる人類の絶滅を、アメリはずっとただ見届けるのは辛いから、自分が起こせるのなら今に早めても良いだろう、と思っていたのを、サムが望むなら人々の未来を少し、先延ばしにするという決断です。

それが、絶滅体であるアメリの役目だと。

その決意を聞きながら、私はずっと泣いていました。

過酷過ぎる役目。目的が違ったとしても、バラバラになった世界をもう一度繋げるという役を果たしても、彼女は1人で世界の終わりを見届けるという人柱になる事を引き受けないとならない。

そんなの辛過ぎる。それでもその役目は必ず引き受けなければ、サム達の生きる明日は無い。

ずっと涙が止まりませんでした。

 

その後、アメリとブリジットの関係、本当の秘密、何故アメリは一度も実体を誰の前にも表さなかったのか。などが語られます。

その時、アメリがよく歌っていた「ロンドン橋落ちる」の童謡の意味が分かります。

歌の最後に「マイ・フェア・レディ」とあるのですが、これがロンドン橋が建てられる時に生き埋めにされた人柱の女性を指すという伝承があるのです。もちろんそれが本当かは分かりませんが、まさにアメリは人柱。アメリの役目を歌っているのでしょう。

この歌は、サムと出会う最初からアメリはずっと歌っているのですが、(憶測ですが)自身が世界を見届ける人柱になる事を示していたのでしょう。

そういえば、カイラル・プリンターに素材を入れた時の音も「ロンドン橋落ちる」ですね。

 

 

そしてタイトル回収。

サムのビーチから、元の世界に帰ります。

後から分かりますが、ブリッジズのメンバー全員がサムを探して、連れ戻してくれたのです。

 

 

ここで終わりかと思いきや、まだ終わらない。

時は変わり、新大統領の就任式。

ダイハードマンが跡を継ぐ形で大統領になります。もう過去を捨てた印の仮面は外します。

「誰か」であるサムはそっと、就任式を後にします。

 

そこでサムが出て行ったのを見ていたデッドマンが追いかけてきます。

接触恐怖症が治ったサムを、力一杯抱きしめます。デッドマンは元々人に触りたがる癖があるので、ずっと望んでいた事でしょう。

ここも私は胸が温かくなりました。

 

そしてデッドマンから簡単に、ダイハードマンこと「ジョン」の過去を知ります。

ジョンはブリジット大統領に全てを捧げていた為、過去の戦地で何度も命を助けてくれたクリフを、BBを何としても取り返すためにブリジットの命令で撃ち殺したのです。

その後、ジョンは死亡した事になっていますが、ダイハードマンとして名前と過去を捨ててブリジット大統領の補佐官として就任していたのです。

 

それを告げると、ダイハードマンが就任式を終えて歩いてきます。

デッドマンが去り、ダイハードマンとすれ違う時に、呼び止められます。

そこで、さっきデッドマンから聞いた事を、ダイハードマンの口から懺悔の様に聞かされます。

彼は、ブリジット大統領を愛していた。

彼女を守る為に、起こした事だったと。

しかしながら、命の恩人を射殺した事は彼の大きな悔恨でした。アメリのビーチでクリフと出会った時、「赦して」と言いながらも彼に殺される事を願ったと。それで楽になれると。

しかし、クリフは彼を殺さなかった。

その優しさなのか、許しなのか。やはり彼にとっての命の恩人の存在が彼の胸を締め付けると、サムに打ち明けます。

その様子が、泣き崩れて慟哭をするのです。

彼の声を当てている、そんな大塚明夫さんの演技、見たことない。非常に驚き、そして私も彼の辛さを感じて涙しました。

サムは、元々ダイハードマンの持ち物であって、クリフを射殺して、サムがアメリのビーチから帰る役目を果たしたリボルバーを返します。

「別の使い道がある、それが彼女の言葉だ」

そう言い、その場を去ります。

 

そして、デッドマンがルーを手に再び現れます。

ルーは酷使し過ぎたせいで活動停止状態にあり、再び機能する事は無いだろうと。ポットの中でルーは死んだ状態になっているので、このままだとネクローシスを起こす可能性もある為、大統領命令で破棄が決まったと。

ルーをポットから出しても、70%の確率で再び生きる事は無い、とも。

そして、ルーを破棄する為に、焼却処分が必要だという事も。

デッドマンは最初こそ、BBは装備だからあまり愛着を持たない様に、と告げていました。

しかし、ルーの調整をする時にルーに酷く懐かれて、すっかり愛着が湧いてしまったのです。

「俺にはルーを焼くなんて出来ない」とサムに告げます。サムはつまり、ルーを焼却場まで持っていく役目を負う事を理解します。

「わかった」と告げて動かないルーを引き取ります。

その時、デッドマンは、サムの手錠端末をオフラインにします。

焼却場で処理が終わったら、オンラインに戻る、と。

その間に端末を外す事も出来て、外されたら誰もサムの居場所を突き止められない、とも。

「つまり、何が言いたいか分かるか?」

「いや、分からないな」

そうサムは返事をしながら、デッドマンを固く抱き締めます。

ここも、非常に良いシーンでした。

 

サムが外に向かうと、フラジャイルが居ます。

フラジャイル・エクスプレスはブリッジズ公認の民間配送業者になったと。

 

なんとなく、サムの行く先、未来が分かったのか「ねぇ、うちに来ない?」とサムを引き留めます。

「いや、俺はもう壊れた物だから」とサムは断ります。

それでもフラジャイルは引き留めますが、サムはそのまま外に向かって歩きます。

フラジャイルもなんとなく、それが最後のサムとの別れである事を悟っているのでしょう。

「サム!」

そう呼びますが、シャッターが閉まり、彼女との別れになります。

 

 

 

「さぁ、最後の仕事だ」

そう言いながら、サムは焼却場を目指します。

 

普段、私はどこかに行く時は手錠端末からマップを出してルートを作って向かうのですが(半端ない方向音痴なので)、ここではデッドマンが端末をオフラインにしているのでルートが作れません。

大丈夫かな!?と思いながら、コンパスモードで目的地の方角を目指してなんとなく歩きます。

途中、梯子があるのですが、その設置人の名前が「イゴール」なのです。

イゴールは、サムが最初に出会った遺体処理班の男性で、彼がBTに飲み込まれそうになる時、BB(ルー)をサムに託し、飲み込まれる寸前まで自殺を図るも死にきれなくて、セントラル・ノットシティを巻き込む対消滅を引き起こす事になります。

そんな彼の残してくれた梯子などが、サムの行く最後の道を作ってくれるのです。

ここの演出、かなりグッと来ました。

 

無事に焼却場に辿り着くと、サムは何気なく動かないはずのルーと接続します。

そこで、本当の事実を知ります。

 

これがBB第1号であり、ブリジットがこれを使いデス・ストランディング解明に利用しようとしている事。

 

そのBB第1号の父はクリフであり、ブリジットからBBを助けられると聞かされていたのを、裏切られる形になるという事。

そして、それをなんとか助けたいと思う、過去のダイハードマンことジョン。

妻であるリサ・ブリッジズは助からない。なので夫のクリフの手で楽にしてあげてください、と。

 

初めて映る妻リサの顔。

そして、彼は「すまない」と言いながら、妻リサを銃殺します。

 

そしてジョンがシステムを誤魔化して5分の猶予を作ってくれたのを利用して、BBを持ち出し逃げるのです。

 

そこで、サムは我に返ります。

初めて見る、ポットの外からの光景。

どうゆう事が掴みかねるも、ルーを焼却場に持って行きます。

 

 

 

 

それが、出来なかった。

出来なかったのは、サムでは無く、私です。

 

このまま焼却場に入り、端末にアクセスしてしまえば、ルーとはお別れになってしまう。

その時、ルーとの思い出が一気に蘇ってきました。

BTの座礁地帯を抜けた時にルーからくれた、いいねや笑い声。

時にはサムが転んでルーが大泣きするのを必死にあやしたり。

BBお疲れ様!の看板に喜ぶ声。

一緒に温泉に入った時に、ルーもポットの中なのに温泉を泳ぐ様に手足を動かしてた可愛い姿。

滑走したり早い乗り物に喜ぶ子供らしさ。

洗面台で撮った写真に喜び笑い、いいね!をくれた事。

もうその思い出が、私をコントローラーの操作を不可能にさせました。

涙が止まらない。

別れたくない。

もういい歳した大人が、しゃくり上げて泣くぐらい、辛かったです。

その時しばらく動かなかったサムが、そっと口笛を吹きます。

そのメロディーは、度々見てきたクリフの思い出で、彼が歌っていた子守唄でした。

ルーはもう動かないのに。

その事が余計に私の涙が止まらせなくさせます。

 

もうあやす事も出来ないのに、死んでると分かってるのに、どうしても足が止まってしまう。

 

それでも、進まなければ話が終わらない。

かなりの間私が泣きやまなくて、動かなかったサムもついに焼却場に入ります。

まだこの世界に産まれてすらいない1.5kgの胎児を、見送らないといけない。

この話がこんな辛い最後だったなんて、と思いながらも先に進めます。

 

ポットを焼却場の焼却台に乗せて、手錠端末も一緒に乗せるサム。

事実上の、ブリッジズとの別れです。

ルーを焼く為に下がっていく台を見ながら、私は必死に「サム、助けて、助けてよ」と涙声で呟きます。

 

サムも同じ気持ちだったのでしょうか。

 

ポットを焼却寸前で奪取し、抱き締めます。

そこで最後に、さっき見たルーの記憶の続きが流れ込んできます。

 

 

今回は何故か、サムも記憶の現場、その場に居ます。

クリフがBBを奪取して逃げるも、行手を阻まれ逃げるのが上手くいかず元の部屋に立て篭もる様子が出てきます。

 

そして警備兵に撃たれ、床に伏せるクリフ。

この台詞が、私の胸を打ちます。

クリフと同じ、だなんて恐れ多くて言えないけど。

 

私にはお付き合いしている彼女が居ます。

彼女との絆は守るべきものであり、それが私をこの世に強く引き留めている存在であります。

鬱状態の時にはほとんど希死念慮(自殺願望)を抱えて、この世から消えたい、私にはこの世界に居る価値も意味も無いと。度々思います。今回の最初の時もそう思っていました。

それでも、守るべきものがあるからと、死ねずに居るのです。

守りたいものがあるから、死を恐れる様になる。

クリフはそれが「怖かった」と話します。

クリフが戦場に生きる兵士で居られなくなった、退役した理由でもあります。

 

しかし、彼にどんなに命を救われても、ジョンはブリジットの為に生きているので、銃口を向けます。

ブリジットは非情にも、ジョンに命令します。

 

その時、時間が止まります。

そして分かります。

これはルーの記憶では無く、サムがBB第1号だった時に見ていた記憶だった事。

クリフは、サムの父親だった事。

サムの名前の由来。

本物の橋、つまりsome bridges.

そしてサムに希望を託した事。

愛しい我が子を抱きしめて、きっと別れを告げて、非情にも時間が進みます。

 

クリフは、手を下せなかったジョンに代わって銃を撃ったブリジットにより、射殺されます。

その時、ポットから出されてクリフの手の中に居たBB、サムも誤って銃殺されます。

 

その時、サムはアメリのビーチに辿り着きます。

アメリが見つけ、腹部の銃槍を閉じ、泣き出すサムをそっと抱き上げます。

「かえりたい?」「かえりましょう」と、アメリはサムを海の中に返します。

これが、サムが帰還者である理由でした。

そして、生き返ったサムは、母親が死んでいるのでBBとしての能力を失い、ブリジットに育てられる事になります。

 

 

それを思い出したサムは現代に戻り、ルーをポットから出します。

「ルー、起きろ」

「ルー、起きてくれ」

「ルー!」

必死に泣きながら、小さなルーに必死に呼びかけます。

こんな悲痛なサムの声を初めて聞く私は、また涙が止まらなくなります。

 

もう私の心は、すっかり感情移入も出来るし、驚く事も戸惑う事も泣く事も出来る。

ゲームを通して、心が綺麗に回復したのです。

 

そのサムの声に、小さな泣き声が返ってきます。

目を開けて、アメリのキープ(サムがプレゼントしたネックレス)を手に、声を上げます。

 

サムはそっと抱きしめて、外に出ると、時雨が上がっています。

その時に出た虹には、(この写真には上手く映ってないけど)BTの座礁地帯に出る逆さ虹には欠けている、青色が入った綺麗な7色の虹が掛かっています。

 

 

サムが目を覚ました先に、小さな手があります。

それを握りしめて、「ルイーズ」と本当の名前を告げて、物語は終わります。

 

 

 

 

最後のリザルト画面はこんな感じでした。

トロフィーの日付から、今回スタートしてから約8日間でクリアです。

プレイ時間は約61時間。多分再スタートする前に1〜2時間遊んでいたので、ほぼ60時間ぐらいでクリアでした。

 

 

 

非常に面白かった。こんなに強く感動するとは思わなかった。

 

きっとこのゲームに触れなければ、北欧に2つの隕石が同時に落下して出来た双子のクレーターがあるなんて知らなかった。

iPS細胞ってどうやって作るのか?なんて調べなかった。

エジプトの死生観を詳しく知りたいとは思わなかった。

ヒッグス粒子って何なのか?なんて調べなかった。

観ようとは思ってたけど「シェイプ・オブ・ウォーター」を絶対観なきゃだなんて強く思わなかった。

過去のビッグ5と呼ばれる大量絶滅がどうして起きたのかなんて調べなかった。

妊娠28週の胎児が早産だとしても生きられる確率なんて知らなかった。

ベトナム戦争アメリカがどう関わっていたのかなんて調べなかった。

 

長い長い、一本の映画を見た後の様な気分でした。

何気ないきっかけでも、このゲームを遊べて本当に良かった。

元々凄い人だとは思ってたけど、改めて小島秀夫監督が凄い方なのだと思い知りました。

 

きっと、ルーは30%の確率を引けず、ポットから出された時に死んだのでしょう。

そしてアメリのビーチに辿り着き、アメリがそれに気付いて返してくれたのかな、と思います。

 

 

 

 

改めて、私たちの世界の人類は絶滅に脅かされてはいないし、インターネットが世界中を繋いでいる。

私がこのゲームをやる前に「辛くなってTwitterSNSを見るのをやめた」と言っていましたが、今思えば「世界と繋がりすぎた」のだと思います。

「世界と繋がりすぎて、世界から離れた私がアメリカひいては世界を繋ぎ直した」だなんて、変な話です。

 

見るのを止めた前、私は一日気付けば常にTwitterを見て、ずっと誰かの存在に触れて、全ての「誰か」からの言葉を受け止めて生きていました。

「誰か」が苦しんでいたり、辛い目に遭っていたりするのに共感を感じ過ぎてしまうのです。

「消えたい」とか「死にたい」などの言葉を目にした時、いつも息が苦しくなってしまいます。鼓動が早くなり、上手く息が吸えなくなる。

情報との距離の測り方が、非常に下手なのです。

 

多分、これからも私は距離感が下手なのでTwitterやインターネットから離れては近づき、また離れることを繰り返すのだと思います。

現代社会において、インターネットから完全に離れる事なんて不可能です。

このゲームでも、インターネットに繋がっている事で誰かの作った橋を渡れるし、看板からいいね!を貰ったり出来た訳ですから。

それでも、サムがこの私のセーブデータに2人居る訳じゃないので、一緒に遊んだりは出来ない。

なので、このゲームの様に「良い距離感」を保ちながら、生きるしかないのかなと、ゲームを終えて思いました。

 

私もサムほど人望が厚くないけど、きっと帰りを待ってくれている人が居て、離れ離れになる事を惜しんでくれる人が居るんじゃないか。そんな気がしました。

 

 

余談ですが、私がこのデス・ストランディングに出会う前に一番好きなゲームが、「風ノ度ビト」です。

あのゲームでも、(言葉が存在しないので憶測ですが)繋がりがテーマなのかと思っています。

短いゲームなので2週目を遊んでた時に、出会った白いローブを着た旅ビトさんがずっと連れ添ってくれて、シンボル集めをずっと教えてくれて、隠しトロフィーの取り方も教えてくれて、(バグ技だけど)世界を全て一望出来る場所に連れてってくれて、最後にはハートマークを地面に描いてお礼を伝えてくれました。

その後、PSNのメッセージ機能で、英語の「一緒に旅出来て楽しかったよ!」というお礼が届きました。私が日本人なのを見て「ありがとう!」という日本語まで書いてくれた。

もうデータに残っておらず、名前も忘れてしまったけど、ロシア人のその方は今無事に生きているのでしょうか。

 

そんな10年前の繋がりを未だに覚えているくらい、ゲームでも何でも、繋がりって忘れられない存在なのかと思います。

きっとこのデス・ストランディングで感じた繋がりも、忘れられない存在になるのでしょう。

 

 

最後ですが、デス・ストランディングの最後の永遠に終わらないチャプターのタイトルは「Tomorrow is in your hands」です。

私が今回得た繋がりと、今までに作り上げて改めて感じた繋がりは、私が手を動かして作り上げたものです。

明日は私の手が作るんだ、という事を忘れずに。

病気故に、多分また鬱の波が来て辛くなる事もあるだろうけど、この手は未来を作れる事を忘れずに、生きてゆきます。

 

本当に良いゲームでした。

 

 

 

さて、残りの国道作らなきゃ。指名配達も残ってるわ。

まだまだ、私はこのゲームを楽しみます。